人間発達科学課程の教育目標




 三重大学教育学部には平成11年4月から人間発達科学課程が設けられています。
平成18年4月からは、

【人間発達科学コース】と【日本語教育コース】
の2コースから成る新しい課程になりました。

人間発達科学コース

募集定員は10名です。


人間発達科学コースってどんなコースなのですか?

 三重大学教育学部では、
21世紀の教育でどのようなことが求められるのだろうかということを、
長い間かかって検討してきました。

この過程で、いくつかの問題が整理されてきました。

一つは、人間教育ができる人を養成したいということでした。

いじめや不登校、子どもが加害者や被害者になる事件などが起きないような社会を作りたい、
そのような教育力のある人を作るために必要な技能を習得するための能力を身につけてほしい、
それがこのコースの一つの目的です。


 もう一つの目標があります。

それは、地域に根づく教育者を養成したいということです。

教育などと言うと難しく聞こえますが、
子どもに遊び方を教えることも立派な教育なのです。

教育は、なにも学校だけで行われる活動ではないのです。

私たちは、教育をもっと広く考えています。

さまざまな所で、さまざまな形で教育活動に参加できる人材を養成したいと考えています。





資料1 システムとしての教育支援の場の理解について
 
 
 本課程で中心的な枠組みとしている「システム」という考え方は、
米国の発達心理学者であるブロンフェンブレナーが提唱したものです。

これは、人間の発達をさまざまな活動文脈間の関係の中で理解しようとするもので、
それまでの単一の機能系の中における子ども理解への大きな反省を生み出しています。


 彼によると、人間が生涯かかわる環境には4つの層があって、
それらの層は、独立して存在しているのではなく、
すべてが相互関連的で、
人間の発達・形成に大きな影響を与えているとされています。


 
 マイクロシステム
家庭や学校などであり、
当事者にとって直接行動が展開される場所であると考えられる。


 メゾシステム
個々のマイクロシステムでの行動場面の枠を越えて、
家庭と学校、家庭と職場をつなぐような相互関係システム、
あるいはネットワークを言う。


 エクソシステム
子どもにとっての職場のように、
現在の社会的制限や能力などの制限のために直接参入出来ないようなシステムである。


 マクロシステム
上記の環境システムの枠組みを作り出すもので、
社会制度やイデオロギーなど、抽象的存在として。



 
 例えば、家庭というマイクロシステムの中での母子のやりとりは、
子どもの参加することのできない、大人の職場での人間関係やそこでの経験を抜きにして考えられないし、
さらに大きな存在としての信念体系などとも密接に関係しているのです。


 
 本課程では、
このような各層での援助とその関係性の理解とそのオーガナイズ能力を育成
しようとしているわけです。