いつから妖怪はいるの?
今までは妖怪(ようかい)はどんなものかだったけど、そもそも妖怪っていつからいるのかな?
日本ができるまでを書いた昔の本の「日本書紀(にほんしょき)」に、天地創造(てんちそうぞう)、つまり世界すべてがつくられたころは草も木も言葉をしゃべっていたと書かれているんだ。同じように神様の時代からのことを書いている昔の本の「古事記(こじき)」では、太陽の神さまである天照大神(アマテラスオオミカミ)が弟のスサオノミコトがあまりにも凶暴(きょうぼう)なので、怒って「天の岩戸(あまのいわど)」に隠(かく)れてしまった時に、天照大神(アマテラスオオミカミは太陽なので、この世はヤミに閉(と)ざされてしまったときに、たくさんの「妖(あや)しいもの」たちが出現(しゅつげん)したというふうに書かれているんだ。これが妖怪の始まりといわれてるんだよ。
神さまがいた時代から妖怪はいたわけだね。そして、妖怪たちには闇(やみ)が必要だということもその時にいわれているね。神話の世界ではキジも話をするし、因幡(いなば)の白兎(しろうさぎ)も人語(じんご)を話しているんだ。こういったものたちは神さまだったんだろうね。自然を尊敬(そんけい)して、恐(おそ)れる心が現代より強かった人々がいるころには妖怪もいたんだね。
でもね、今のような妖怪と呼ぶものは、奈良(なら)時代(710〜784年)に仏教が日本に入ってきてから形が作られてきたものでね、平安(へいあん)(794〜1190年)・鎌倉(かまくら)時代(1190〜1334年)には鬼(おに)を中心に妖怪、精霊(せいれい)が活躍(かつやく)して、人を化(ば)かす動物も多く出現(しゅつげん)しているんだ。
それを変化(へんげ)っていうんだ。
でも、キツネやタヌキだけじゃないんだよ。戦国(せんごく)時代(1134〜1600年)から江戸(えど)時代末期(〜1867年)までの約400年間は、妖怪変化(ようかいへんげ)の数がものすごい勢(いきお)いで増えているんだ。ろくろっ首や山男山女(やまおとこやまおんな)のような人間の変化らしいものから、キツネ、タヌキ、かわうそ、猫、カエルからナマズ、ヘビ、亀のような動物はもちろん、松、えのき、柳(やなぎ)、芭蕉(バショウ)などの植物まで妖怪となって活動している。それに生き物どころか、面(めん)や、からかさ、うちわ、琵琶(ビワ)から爪楊枝(つまようじ)などという道具類も飛び回っているんだ。こんなに妖怪が増えたのは、江戸時代(1600〜1867年)には都市人口も増えて、自然より人や、身近な動物、道具類に興味(きょうみ)が向いていったからだろうね。