おはなし3

つづき






中には、アリ巻き【アブラムシ】がいて、くきからしるをすっています。茶色のアリは、アリ巻きのおしりから出るあまいみつをのんでいます。アリは、みつをもらうかわりに、トンネルをつくって、アリ巻きをてきからみつからないようにしているのです。
花の下のくきのところにも、アリ巻きがいました。そこへ、丸い羽のテントウムシがやってきました。コスモスの細いくきや葉をひげでたしかめながら、歩いています。アリ巻きを見つけると、「これはごちそうだ」とばかり、むしゃむしゃと食べはじめました。アリたちは大あわて。大切なアリ巻きを食べられてはたいへんと、テントウムシの足にかみついたり、せなかにのって追いはらおうとします。テントウムシはしかたなくとびさります。

バサ、バサ、バサッ。あまりうまくないとびかたで、コスモスの花にやってきたものがあります。カマキリです。じっとして動きません。ひげをぴーんとはり、前足をおりたたみ、何かを見つめています。次のしゅんかん、かまのような前足をさっとのばしました。この動きは、あなたがちょっとでもまばたきしたら、見えないすばやさです。カマキリの前足には、ミツバチがとらえられていました。カマキリは、花に来る虫を食べにやってきたのです。カマキリは、自分より小さくて、動いているものなら、何でもつかまえようとします。つり糸にボタンをつけて、カマキリの前でゆらしてごらんなさい。

コスモスのくきに、カマキリがうんだたまごのかたまりがついています。おや!たまごに小さな黒い虫がついています。おしりに長いくだのあるハチです。ハチは、カマキリのたまごのにおいをかぎわけると、長いくだをさしこんで、自分のたまごをうみつけます。そのたまごからかえった幼虫は、カマキリのたまごを食べて大きくなります。そして、次の年の春には、親になって、たまごのかたまりからでてきます。カマキリに勝てる虫はちょっといませんが、カマキリが大きくなるまでには、いろいろなてきがいるのです。

太陽が西にかたむくと、虫たちの数がだいぶ少なくなりました。ときおり、かるい羽の音をたてて、ほうじゃくがやってきます。ストローのような長い口で、とびながら、みつをすっていきます。葉のかげでは、モンシロチョウが、休み場所をさがしてとんでいます。小さなアブが、花にもどってきました。くらくなるまで、安心してみつや花粉をなめることでしょう。

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