おはなし3

コスモスと虫たち




赤、白、もも色、きれいなコスモスの花がさきました。よく晴れた秋の朝です。花には、もうたくさんの虫たちがやってきています。耳をすましてごらんなさい。ムーン、ムーン、むしたちがさわいでいますよ。風がヒューッとふき、花がゆれます。虫たちもぱっとまいあがり、風がおさまると、また、すぐ花にとまります。小さなアブが1ぴき、花のまん中にとまりました。すると・・・。

むく、むく、むく。コスモスが、黄色い花粉を出しました。花のまん中に、何かがふれると、花粉が出るしくみになっているのです。アブは、出てくる花粉を、おいしそうになめます。ブン、ブブンと、羽の音をたてて、大きな毛むくじゃらの、まるはなばちがやってきました。「ちびすけ、そこどけ。」とでも言っているようです。小さなアブは、いそいでほかの花にうつります。まるはなばちは口をとがらせて、みつをすいます。花粉が、顔や体につきます。その花粉を足でそうじして、うしろ足のかごにあつめます。まるはなばちは、みつや花粉を巣に持ちかえり、子どもたちのえさにするのです。

みつや花粉は、一つの花にはたくさんはありません。虫たちは、次から次へと花をたずね歩きます。ですから、コスモスがみつをたくさん出す日中は、花のうばいあいがはじまるのです。花は、なぜ、みつや花粉を出すのでしょう。花は、なかまをふやすために、たねをつくります。たねは、ふつう、おしべから出る、花粉がめしべの先につかないとできません。でも、多くの花は、自分で花粉をはこぶことができません。めだつ色や形の花をさかせるだけでなく、ごちそうも用意して、虫たちをよぶのです。こうして虫たちは、知らないうちに花粉をはこぶてつだいをしているわけです。

ちちー!!おや、何がおきたのでしょう。あっ、小さなアブが、はなぐもにつかまっています。はなぐもの体は緑色をしているので、葉やくきなど、まわりの色にとけこんで、わかりにくくなっています。うっかり近よったアブがとらえられたのです。花の上の空には、いろいろなアブのおすたちが、うかんだようにとんでいます。ときどき、追いかけっこをしているようです。なぜでしょう。おすたちは、交尾の相手をもとめているのです。近よってくるアブがめすかどうかたしかめたり、ほかのおすを追いはらったりしているのです。

地面の近くを見ると、くきのところに土がくっついています。調べてみると、土のトンネルができていました。これは、小さな茶色のアリが、土を自分のつばでかためてつくったものです。

つぎのページにすすむ